酒巻さんの仕事術

経営46年の集大成ブログ

時間感覚の極意

昔は時間の単位が1刻、半時、小半時と数えた。1刻は2時間、半時は1時間、小半時は30分である。今は全て何時間という単位で時間を表現する。

日本は明治になってから西洋の文物をできるだけ採用するようになり、日本古来の伝統文化を軽視するようになった。例えば何十年か前から坪という呼称が実質禁じられ、全て平方Ⅿで表記しなければならない。

何故政治家か官僚たちはこんな愚行を繰り返すか理解の外である。イギリス、アメリカではまたヤード、ポンドという単位が使われていて、便利なものだ。

旧来の単位は人の体に基づくものだから、直観的にも受け入れ易い。人の背丈に少し余裕を持たせた1丈(180cm)の横縦の面積が坪であるので、感覚的にすっと頭に入ってくる。

1刻という単位は人間が持つ体内時計を基に設定された時間単位だ。2時間というのは考える一つの区切りで、この時間を超えて会話をすると疲れたり、飽きたりする。

 私は営業ではそれを利用した。

売込みに行って相手が受け入れてくれると会話が始まる。相手の人は大概話好きだということは前に書いたが、出来るだけ相手の人に話してもらう。そしてこちらも相槌を打ったり、たまに意見を言い、そして商品を説明する。

実は仕事が良くできる人との会話では、本来の話しはほんの少々で、その他の時間は大体雑談である。だがその雑談を2時間もやっていると脳の緊張が緩むものだ。

そうするとこちらが商品を売り込むともうその商品の値段、あるいは品質に対して真剣に検討する作業がお座なりになってしまう。そこから真剣になって商品を売り込むと買ってくれる確率がぐんと高くなる。

これは自分で何度も経験しているから統計に基づいたものだ。でも自分の頭も緩んでいる。それを見越して自分は3時間緊張を解かないという身構えと前準備をしておくと良い。

この方法は大成功した。最初の訪問で新規顧客を獲得した確率は90%。とても効率が良かった。

人によって営業、売込みの態度は違うし、高額商品であればこんなことは無理だろうが、少なくても自分の印象は相手に残ったと思える。

どこかの本で読んだのだが、5回売込みをして買ってくれなければそれ以上行っても成功率は極めて低くなるそうだ。私はそんなことはしなかったから、実体験ではないが、これは事実だと思う。

顧客やその他誰かに物事を頼んだとしよう。

相手は時間と労力を掛けるのに見返りがない。だからそれは好意に基づくお願いをしていることになる。こんな時あまり早急に返事を要求するのは相手に悪いが、長く待ち過ぎると相手にもやる気が失せる。

だからここでも時間感覚が求められる。ほんの簡単なことであれば次の日に連絡を取って確認すれば良いし、少し調べる時間が必要な場合は1週間ほど待たなければならないかも知れない。

それで何回か連絡を取っても相手が動いてくれない場合は、その相手にやる気がないか、ついつい放置する性格を持っているのだろう。

もうこんな相手とは接触しない方が良い。取引に成功したとしてもアフターフォローが大変で、この人に振り回されることになること必定だ。

私の話しを聞きたい、色々と教えて欲しいと言っている会社の社長さんがいた。それで2,3回話しに行き、経験談や考え、論理などをお話した。

その社長さんは私の話しに熱心に耳を傾けてくれて、とても参考になった。だがその方はとても忙しい方である。それが理由かどうか、大きく利益が出ていない。私の見るところ、その忙しさは単に容量が悪いだけのことだと判定した。

一般的に「忙しい」を連発する人の仕事振りを観察すると忙しいのは仕事が沢山あり、複雑であるということではない。単にその人が直接担当する必要のないことをやったり、仕事の順番を間違えたりしているだけだ。即ち要領が悪い。

しかし会社の社長ともなればそのことをアドバイスする社員はいないし、できる社員もいない。最後に前期の署長さんと話しをしたときは月初で、忙しいので次は連絡しますが、月末ころになるだろうとのことだった。

私はそう言われた段階で、もうその人から連絡は来ないだろうと踏んだ。案の定それから2ヶ月、連絡は来ていない。一ヶ月中に2,3時間の会見の時間を取ることができないというのは怠慢や要領の悪さしかない。

時間感覚というのはとても大切なことで、営業マンが必ず持たなければならない能力である。最初の会見では2時間以上話しを継続するのが営業に成功する秘訣だ。